オモシロキコトモナキ世ヲオモシロク-ケロッグ1年留学日記

外資系コンサル、日系金融機関、インドでの国際機関を経て、2012年6月からKellogg school of management1年プログラムに留学している男のつぶやき。アメリカ時々インド。2013年6月には卒業したいと思っている。

MBAは就職予備校か。その2

留学前に似た書き込みをしたのだが、もう一度思うとこあって書いてみようと思う。今学期は1年生にとってのサマーインターンシップのためのリクルートシーズンだ。1月上旬まではコンサル・投資銀行をはじめとしたプロフェッショナルファームのインターン募集で、今はマーケティング・ジェネラルマネジメントの主戦場だと思っている。おいらのいる一年プログラムはまったく別の時間軸で動いているので(またいつか書こうと思う)少し違うのだが、やはり大半を占める2年生の学生を見ていると当たり前のことなのだが就職予備校としての一面はすごくあるなと思う。

HBSやスタンフォードなどになると起業とかってオプションが多いのかもしれないが(これに関してはなんか半数以上が起業を!みたいな記事があるが本当かどうかはようわからん。。)Kelloggの場合大半がよくある就職活動の道へ進んでいるような気がする(感覚的に)。おいらはほとんど利用したことがないのでよくわからんが、学校の就職支援も非常にすばらしく、またアカデミック自体もリクルートにあわせて若干スロー気味になるくらい。(少なくとも教授がリクルートシーズンであるということに対してかなり理解がある)

アメリカの社会の中ではMBAは転職のよいトランジションの場になっているとしみじみ思う。企業としてはビジネス教育を積んでスクリーニングされた学生を効率的に雇用できるプールとして効率的だし、学生側も自分をゆっくり見つめなおしながら仕事を選ぶことができる。秋のフルタイムの就職活動のタイミングも思ったがますますこの雰囲気を強く思う。

なんだか転職しないといけないような雰囲気が流れていて非常に不思議な感じだ。おいらはこれは結構変だと思っている。当然転職をし、ステップアップするほうが聞こえはいい。でもどこか就職活動という目線になると短期的なブランドに目線がはしっていることも多いとおもう。当然長期的なキャリア形成なんてのは難しいのだが、今まで行っていたことと違って急にプロフェッショナルファームをうけだす連中を見ているとすごく違和感がある。学部時代は法学部にいたのだが、猫も杓子もダブルスクールに行く状況と重なって見える。

じゃあ就職活動しない人にとってのMBAの効果はどうかといわれると正直直接的な効果は難しいような気がする。社内でMBAをとるとポジションが一個上がると確約されているとか以外は。ただ最近常に思うのは、「引き出し」を増やしにきているのだという気がする。仕事のほうが断然に学びのスピードが速い。でも仕事の学びは当然仕事に応じてなので偏りもでるし、ストラクチャーされていない。これを一旦戻って自分の引き出しをしっかり作る場所なのかもしれないと思う。将来一生開かない「引き出し」もあるかもしれない。それでも10年後ある日役に立つ「引き出し」を作る場所なのだと思う。

多くのCEOなどの話を聞いているとキャリアは非常に非連続で予測不能なものであり、(まあおいら自体もそうだが・・)その非連続に耐えれるように「引き出し」を作るそういう作業な気がする。

全体の傾向としては就職活動前は就職活動のために成績を気にして勉強するが、決まるとリラックスしている学生も多いようだ。一方で、今学期特に2年制プログラムの2年生と働くことが幸運にも多いのだけれども、彼らの中には就職活動などとは関係なく純粋に「学び」を最大化しようとしている人がおおくて感心する。たとえばおいらのFinanceの授業のチームなどは、毎回教授からの採点されたケースライトアップをベースに再度勉強会をしたりしている。自分がマネジメントサイドになったときどんな問題でも対応できるように学びを深めたいという連中が幸運にもまわりにいっぱいいてすごく刺激的でもあるし、卒業を前にして自分自身も「仕事に生かすためには」という目線でよりケースを解いたりするようになっているような気がする。

就職予備校である一面は否定できないだろうが、一方で「しっかり学べる」という環境と友人をもっていることに感謝してあと数ヶ月がんばろうと思う。

 

 

 

卒業の足音

またさぼりました。また少しずつきちんと書いていきます。

 

今学期は本当にスピードが早く感じるのだが気づくと冬学期も半分以上終わり、最近は卒業式のメールなどもくるようになってきた。まだ実感はそんなにないけれども、ああもう数ヶ月すると卒業してしまうんだなという気持ちが強くなってきた。

 

そんな今年の卒業式のKelloggでのSpealerはDuPontのCEOであるEllen Kullmenだそうな。

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そろそろ仕事に戻りたい気持ちが高まってきていた(基本的に仕事好き)ので、自分的には1年間プログラムで丁度よかったなーといまさらながらあとづけてきに思ったり。一方で卒業が見えてきてから少し自分の授業のとり方にも受け方にも自分自身に身が入るようになってきた気がする。このブログは趣味の世界なのでMarketingのことを多く書いていますが、実際のクラスや勉強に費やしている時間の中ではFinanceまわりを学ぶことを意識してやっていたり。特に今学期は以前も書いたのだけれどもFinance Decisionというほぼ毎クラスケースが出されてそれをグループで解いていくというのをひたすら繰り返すという授業をとっており、なかなかグループワークについていくのも必死なのでよう勉強しております。純粋な企業価値算定だけでなく、オプションの価値算定であったり、IPOなど様々なケースのFinanceまわりの課題を取り扱っているので非常に学びが多いです。来週春学期のBidがまたあるのでそろそろしっかり考えなくちゃ。

Kellogg Super Bowl Advertising Review

先週末はSuper Bowlだった。にわかには信じがたいが視聴率50%を超えるこの試合Kellogg的には別の大きなイベントがある。それがこのKellogg Super Bowl Advertisement Reviewである。なにかというとこの大きなイベント中に放映されるTV CMをKelloggの教授陣と学生たちが評価をするというもの。ちなみに選ばれた学生はCMの間トイレにいくこともできない。(逆に試合中は行ってもいい)

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こんな感じだったらしい。おいらも申し込んだのだけれども残念ながら選ばれず。ただせっかくの機会なのだからとSuper Bowl自体は見たのだけれども、正直言うとAdvertisement自体は少し期待はずれだった。一秒数億といわれる枠をかけているだけあってもっと気合をいれたCMをつくってくるかと思いきや、中身は意外と普通の作品も多くなんだかReviewするほどかいなというのが正直な感想。

一方で当然本当にこれだけの金をかけるべきなのかという質問もでてくる。RAMAによれば、視聴者の73%がほぼエンターテイメントとしてCMを見ており、実際の購買に影響を与えると答えたのは8.4%だそうだ(すなわち実質効果はもっと低い)。当然Super bowlのスポットを押さえたという大きなシグナリングは存在するのだろうが、Super bowlのCMを見たからといってコカコーラを飲むのをやめて、ペプシにしたりというのは少し考えずらい購買行動でもある。(両方CMをやっているし。)テレビに代表されるTraditionalなMarketingの比率が相対的に落ちていく中で、MROI (Marketing Return On Investment)はどう考えられているんだろうか。

http://www.businessweek.com/lifestyle/the-super-bowls-real-roi-02032012.html

さて、Half timeのスポンサーであったPepsiのカウントダウンはちょっと好きだったので是非興味がある人にはみてほしい。


Beyoncé + Pepsi Super Bowl Halftime Countdown

ちなみに結果に関してもこちらのファイルをみてもらうと速報がでているので是非。個人的には?です。確かにSubwayのCMはひどかった。。

http://www.kellogg.northwestern.edu/news/superbowl/

Pepsi-co CMO Speaker session -Global Brand Foundationに関してーその2

以前書いたセッションの続き。

最後にPepsicoのCMOがKelloggの学生に向けて送ってくれた言葉を書くといっていたので忘れないように書いてみる。

  1. Be a student of marketing! この学校はマーケを学ぶ上では最高の学校。どんな題材もいかし、常に顧客目線でいることを忘れないこと、貪欲になんでも学校で学べることは吸収すること
  2. Have a vision "good is a enemy of great" Goodに満足しないこと。自分がGoodだと思うとそこでイノベーションはとまってしまう。マーケティングという学問は常に競合よりいいものを生み出していく継続的な仕事。自分の仕事に常に厳しく
  3. Know your business cold マーケで生きたいならば、しっかりと組織を見定めること。マーケを戦略にしっかり結びついている会社を選ばなければしたいことができないだろう。
  4. Work with smart people 「素敵な」人と働くこと。それは自分を磨くこと。「素敵な」人を見つけるのはあなたの仕事。
  5. You miss 100% of the shots you do not take! やってみなきゃはじまらない。マーケティングの世界に100%なんて言葉はそもそもなく、確率の世界。失敗したら学ぶ。成功しても学ぶ。
  6. Keep some outside perspective. 常に仕事以外のことを大事にすること。家族、友人、すべてがあなたの仕事を最大化する

すごく「風格」と「愛嬌」のある人だった。

 

話はそれるけれども先週末にはKellogg Marketing Conferencehttp://kellogg.campusgroups.com/mktgconf/2013-keynote-speakers/なるものも開催され。IDEOのDirector やナイキ、ユニリーバのマーケティングヘッドなど大御所がそろっての盛りだくさんのマーケ一色の一日があったり。その後今は日曜日のSuper ballに向けてまたKelloggのMarketingは盛り上がったりしています。めちゃおもしろい。またその話は今度。

MBAインタビュー対策。ラウンド2の面接の季節も近づいていますが・・・

最近ずっと自分の趣味の世界に走りすぎていたので、違うことも書いてみようと思う。ラウンド2のインタビュータイミングが近づいてきてやっぱりインタビューへの質問などを含めてお話をすることがおおい。やはりラウンド2は既に他の学校の面接を受けている人もいるし面接自体には自信のある方も多いのだけれども、結構準備不足だなーと正直思うことも多い。

ラウンド2の場合みんな5-10校くらい出願しているのだろうから気持ちはわかるのだけれども、基本的な学校のこととか授業のことをやはり知らないのは少し勉強不足な気がする。というか正直どうやってエッセーを書いたのか?という気になる。

 

おいら自体は別に面接合格のクライテリアを知っているわけではないのだが、結局「自分のことをよくわかっていて」、「入学した後、MBAをとった後のイメージがわく」人を見ているはずで、自分自体が入学した後のイメージが弱い人はやはり面接官にもそのイメージをわかせるのは難しいようなきがします。前にも書いたけれども、入学もしてねーしそんなのわからねーよという気持ちなのはよくわかるのだが、一度コースカタログをしっかり読んで、今の自分だったらどんな科目をとりたいか?どんなクラブ活動をしたいのかの仮説をもって面接にのぞまれるといいと思います。また学校側だけでなく、本当に自分がそこで生活をするには?ということをイメージしてみるのがいいと思います。MBAのブログも死ぬほどいっぱいあるし、キャンパスビジットをしなくても生活の様子などは非常にわかるだろうし、どこの学校もコンタクトすれば非常に親身になってお話をしてくれると思います。

 

また学校側の論理として、よく言われる話だけれども「合格を出した人にはしっかり入学してもらいたい」ので、というかぶっちゃけ進学率のようなものは気にしているはずなので、どこまで進学を本気に考えているのかというので、その人の本気度のようなものをはかっているような気がします。お会いする人どの人もすばらしい経歴とご経験をもたれている人が多いし、最後の最後でその1%を動かすのはその辺の本気度であったりするような気がします。

当然入ってから色んな気持ちの変化も起きるだろうし、とる授業なんて違うかもしれないし、進学先を決めたらなお本気で考え直さないといけないのだけれども。せっかくつらい試験勉強を超えて面接までたどり着かれているので最後の一歩手を抜かずに。(ぶっちゃけおいらは去年ぬけたのでその自戒もこめて・・・)

 

Pepsi-co CMO Speaker session -Global Brand Foundationに関して。

寒い日が続いていますがきちんと参加しております。スピーカーセッション。

この間はPepsi-coのCMO(マーケティング責任者)が話をしてくれました。日本ではあまりイメージがないかもだがPepsi-coはきわめてFood事業の強い会社で、特にLaysといわれるbrandのチップスが主力商品だったりする。個人的にはなぜこいつが日本であまり見ないのかが気になるが、日本はきっとカルビーさんとか強いとこがいっぱいあるのだろう。

セッションの中心はQUAKERhttp://www.quakeroats.com/home.aspxというブランドをどう立て直してきたかということ。QUAKERはPepsicoの中での主力商品ブランドの一つだが、1950年代くらいからずっとHelthy Heart/Tasteというメッセージを発信してきた。その中でセグメントを微妙にずらしていったりしているものの、一貫して同じブランドメッセージを発信してきた。


Quaker Oats Commercial

やがて近年のリサーチで顧客からのブランド親和性がなくなってきていることがわかりまた成長が伸び悩んでいく中で、Quaker自体のブランド位置を見定めなければならなくなるのつれ、数多くのサーベイをし"Energy to start the day off"をメッセージにHealthy Fuelとしての機能的な価値へとグローバルブランドを転嫁させていく。

 
Quaker Up: The Hill

実はほぼ同じブランドの位置にいるのだが、メッセージを「おいしい」やら「栄養価が高い」から「朝の始まりにまず一本」のような機能的なものへと変化させている。ここでは細かいデータはいえないが実際にさきの顧客のブランド認識の数字も売り上げも向上したとのこと。またすごいのはこれをインドだろうと中国だろうと製品のフォーマットはかえていても、グローバルで根底のメッセージを均一にTransformしていることだろう。

ここまで書いて考えると、当然彼がCMOという立場で話しているのを割り引いても、こうしたグローバルレベルでのマーケティングコンセプトの変更から製品戦略自体を変えている例は日本はどれくらいあるのだろう。そもそもCMOという役職そのものがよく言われるように日本ではほぼ聞くことはない。ではマーケティング不在かとさけびたいかというとそうでもない。個人的には日本企業は製品戦略側にそれを寄せているのではないかと思うのだ。一方で彼らがマーケティングという局地のスペシャリストかというと製品そのもののスペシャリストであるため、横軸でマーケティング自体の知見がたまらないし、引き算的にコーポレートに残るマーケティングはマス広告だけになるので製品横断でのコーポレートブランドという世界をつくりずらいのではないかと思う。痛いほど教授に言われているのもあるけれど、マーケティングの世界の横に組織論がからんでるなーとつくづく思う今日この頃 

彼からのキャリアのアドバイスをもらったのだけれどもそれはまた別の日に。

 

日本企業と「ガイジン」

以前も書いたけれどもGIM Japan-koreaという授業をとっている。この授業のGuest speakerとしてHBSやINSEADで教授をしていたProf. Marc Bertonecheが日本企業のとある再生の事例をもちいながら「ガイジン」がどう日本企業の変革・再生に影響を与えるかというのを3時間みっちりケースをしてくれた。おいら自体過去グローバルがらみの再生案件にずっと関わっていたこともあり非常に興味深く、またすばらしいレクチャーだった。

授業でとりあげられたケースは非常に成功例としてとりあげられていて、授業のあとにも彼と話したのだけれども、この事例を他の産業やケースにそのままあてられるのかという話をした。

その答えはきっとNoで、このケースの場合も非常に多くの要因がかみ合ってターンアラウンドに結びついており、一方で様々ニュースにもなっているが「ガイジン」をうまく活用して成長に結び付けられているケースってやっぱり少ないのではないかと思う。彼がおいらに言ってくれた中で非常に頭に残っているのは「ガイジン」CEOが人気者になっているが、このケースの裏で彼をずっと支えた日本の従業員がすばらしかったこと、「ガイジン」が日本企業の文化を変えたのではなく、一緒に新しい文化をボトムアップトップダウンで作り上げることができたことが財務的な改善の結びついたことなどを強調していた。

以前他の授業で聞いたのだがM&Aを含め会社の買収劇が「成功」する確率は約3分の1以下だそうだ、その大半は実際のプランを実行できるかに関わっている。授業で話を聞いていて非常に面白いと思ったのはこの実行フェーズにおいて、人員整理や不採算事業からの撤退のような短期的止血策と同時に中長期の成長戦略、ブランド構築の両方をターンアラウンド下ではしなければならず実はその両方のレバーを同時にひける人材は稀有なマネージャーであること。

ずっと興味があった分野でもあり、日本のケースであったこともあり非常に考えさせられるケースだった。このGIMを通じて今後ターンアラウンドまわり、さらにはクロスカルチャーの文化融合周りの組織論的な話も自分の中で見識を深めたい。