オモシロキコトモナキ世ヲオモシロク-ケロッグ1年留学日記

外資系コンサル、日系金融機関、インドでの国際機関を経て、2012年6月からKellogg school of management1年プログラムに留学している男のつぶやき。アメリカ時々インド。2013年6月には卒業したいと思っている。

Kisan First⑤:Peintの農家訪問

というわけで出張の報告。ムンバイから4時間かけてPeintという地方へ。2時間経過後から荒野が続く。。ここでエンストしたら絶対に帰ってこれないと思われる道をえっちらおっちら。ちょっと広大すぎてコメント不能。

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このあたりの元締めのおじさんとアポを取っていたので話をするが、とりあえずおもてなししてくれるらしく謎の小さな店で謎のもやしカレーをふるまわれる。この謎のもやし汁にパンをつけて食べるのがこのあたりのならわしらしい。ふるまいなど断れるわけもなくおなか壊す覚悟で食べたが意外とおいしい。

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さて本題の農家めぐりを開始。本来このあたりは洪水が頻繁におき、畑として使い物にならないのを一生懸命水をひき、開拓してつくったらしく、そこでトマトを栽培している。なぜ、トマトか。トマトは値段の変動が激しい作物である一方で非常に個あたりの利益が高い製品なのでみんなリスクがあるのはわかっていながらトマトを栽培する。1家族で栽培できる畑のサイズは1エーカーが限度。もっといい技術があれば、もっと買い手があれば、もっといい種があれば、ものすごい数の「あれば」が出てくる。しかもその「あれば」はそんなに難しい「あれば」ではない。彼らは木としっくいでつくったようなとてもシンプルな家に住んでいる。この1エーカーで3ヶ月に1度かりとれる量のトマトで生きている。値段はそこから数キロはなれた地方のマーケットのトレーダーが決めるので本人たちはわからない。市場の具合によっては10倍も20倍も値段がちがう。

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どの種類のトマトが売れるのかもわからない。だから市場のいいなりとほぼ勘で次のシーズンに売れそうな苗の種類を決める。この家族を救うのはそんなに難しい話ではない。でもこの村にも同じような家族は70あり、この地域には1000家族以上の零細農家が存在する。元締めのおっさんとはMarketingだとかOperationの効率がとか話をする。でも構造的にアプローチを変化させなければきっとこの問題は解けない。

 

一方で彼らに悲痛な感じは本当にない。外国人がめずらしいのか家族が総出ででてきて数十人に一気に囲まれる。そしてうれしそうにトマトについて語りだしたら止まらない。誇りをもって仕事をしていて、加工ビジネスをしたいからサンプルをくれというと山ほどトマトをくれる。あとで一緒にいったチームメンバーから、「あそこは成功しているところ、失敗するとそのままいなくなる」という話を聞いた。

今もそうだけれども、なんだか自分の頭のなかでいろんなことがぐるぐるする。今回おいらをCEOがこの村に送った意味がわかった気がする。帰り道そんなことをひっくるめて広大な大地をかけぬけながら、色々ひっくるめての大地の雄大さを感じながら少し麻痺をした感覚をひきづりながらムンバイに帰ったのでした。

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