オモシロキコトモナキ世ヲオモシロク-ケロッグ1年留学日記

外資系コンサル、日系金融機関、インドでの国際機関を経て、2012年6月からKellogg school of management1年プログラムに留学している男のつぶやき。アメリカ時々インド。2013年6月には卒業したいと思っている。

Value and Crisis Decision Making

KelloggにはSocial Enterprise at Kellogg、通称SEEKという領域がある。どこから3つ目のEが来ているのかはわからないが、いわゆるSocial enterpriseやSustainableビジネスなどを扱っているのがこの分野である。ただこうしたSocial enterpriseやSustainableビジネスだけに閉じず、幅広く「社会との接点」になるような授業を提供している。
受験生のときは、なんか定義がよくわからず、何なのかはよくわからずにいたが、これもまたKelloggのSocialの捉え方を示していて面白いなと思う。授業リストを見てもらえばわかるけれども、グローバル進出の際に考察すべき非ビジネス要因だけにフォーカスした授業であったり、CSRについての授業であったりと、常にどのような立場であっても、組織をリードしていく以上「社会」と向き合って行く上でかかわるトピックを扱うのが姿勢なのだと思う。

昨日、今日とうけていたのはそんな中でも夏学期に必修となっている「Value and Crisis Decision Making」という授業。この授業、2週間連続で金曜日のナイトクラスと土曜日の休日返上の計4日で行う短期集中授業なのだが、名前だけ見ているとなんのこっちゃかわからん。「??」なままクラスが始まったのだがこれがまた面白い。
いわゆるCorporate Ethicsについて考える授業で、ケース自体も非常に面白く、シュミレーションも現実的に設計されていたりと、みんなの最初の期待値を裏切りめちゃ評判がいい。企業の幹部候補を育成するビジネススクールにとって危機的状況にどういう意思決定をすべきか、そしてまた危機的状況を機会にどうやってかえるのかを徹底的にやりこむ。

日本でも近年インサイダーや粉飾決算などを始めCorporate Ethicsを問われるようなイベントをよく新聞などを読んでいると目にする。「日本型経営」が諸悪の根源かといわれればそうでもない気がするし、ほかの国でも数多くEthicsにかかわる課題はおきている。一方で「リスクをしっかりエスカレーションする組織的仕組み」と「Transparency」に関しては学ぶべきことが多いこともあるんではないかと思う。特にボトムアップ型の意思決定が強い組織になっている企業においては「意思決定」とそれに伴う」リスクの伝達メカニズム」がぶちぎれていて、」しかるべきリスクをしかるべき立場にエスカレーションする」ということがうまくいっていないことも多いのではないかと思う。

最初の会社でおいらが徹底的に叩き込まれたことのひとつは「なんでもかんでもイシューをうんうんいつまでも自分だけで考えるのではなく、自分で解けるべきレベルのイシューなのかを判断し、しかるべきレベルの人にししかるべきイシューをタイムリーにもっていくことこそが大事なスキルだ」ということだった。「しかるべき」というのがポイントで、これは組織としてもRole&responsibilityが明確でないとできないし、個人としても身をもって経験しないとわからないのではないかと思う。
なんとか委員会を設置するとか漢字いっぱいの役職を量産する前に、現場レベルでこういうマインドセットの醸成をすることのほうが危機的状況の未然の防止には役に立つんじゃないかと思う。*1

運よくアメリカ人の多いチームにアサインされ、英語的には議論にのっていくのがつらい一方、語学的にもコンテンツ的にも学びの多い授業なので、来週の授業の後半もちと楽しみです。

*1:経営陣の密室の中で起きていることもあるし、答えのない議論なのでなかなか難しいですが・・